カナダで頑張る日本人女性

カナダで頑張る日本人女性 Vol.10 Yoko Tokiyoshi

カナダのどんなところが好きですか?

年齢による枠があまり感じられないところですね。仕事にしても勉学にしても年齢によるハードルが低いと感じます。自分のタイミングで好きな時に好きな事ができる風潮がいいですね。

あと、自然が多いので、アウトドアスポーツを楽しめるところ。ハイキングやパドルボード、スノボー、ボルダリングと私は一年を通してアウトドアスポーツを楽しみます。ここは山も海も近くて、環境が整ってる所が気に入ってます。

スノボー
スノーボードは毎年パスを買って行ってます。

カナダに住んで何年ですか?

初めに来たのは1993年に学生ビザで一年間。その後、ワーキングホリデーでまた1年。いったん帰国して日本で就職していた期間もありますが、北米にはアメリカに滞在していた時期も含めて、もう20年以上住んでいます。

日本に居た時から、留学はずっとしたいと思ってました。カナダに来たのは、安全性とワーホリ制度があったから。両親が私の結婚資金にと貯めてくれていたお金を使って留学させてもらいました。(笑)

北米に住んでから、今までどんな事をしてきましたか?

留学時代からつきあっていた人と結婚して、バンクーバーに住み始めました。もともとお菓子作りが好きだったので、パティシエの学校に行って、授業の一環でお世話になったSweet Obsessionにそのまま就職。そこでパティシエとして働いていました。でもすぐにアメリカ、シアトルに引っ越すことになり、そこで二人の男の子を出産しました。子供が生まれてからは子育てに追われていましたが、下の子が5歳になったのを機に、ケータリングビジネスをシアトルで始めました。シュークリームを中心としたデザートや焼き菓子を作って、ファーマーズマーケットに出店したり、オフィスパーティにケータリングしたりと、従業員を雇わないといけないぐらい忙しく、看板メニューであるシュークリームも毎回完売でした。このケータリングビジネスは3年ほど続けました。

自分でビジネスをしていると、忙しさや楽しさに惑わされて、周りが見えなくなる時があります。気が付いたら家族がうまく回らなくなっていました。特に、上の息子が学校でトラブルを起こすようになり、家族中心の生活に戻すべく、ビジネスを辞めて、今度は学校のボランティアに没頭しました。息子の事があったので、学校での様子もみれるし、息子も母親が学校にいると安心するかな?とも思い、始めたボランティアですが、やっていくにつれて楽しくなっていきました。もともと人をまとめたり、リーダーとして周りを引っ張っていくのが得意だったので、学校のアクティビティの一つとして、Artのクラスを企画からすべて運営していたこともあります。

シアトルには結局17年住みました。2017年にバンクーバーに戻ってくることになったのですが、当時は戻りたくなかったなぁ。。。周りの環境がすごく良くて、支えあえるコミュニティーみたいなのができてて、そこを去らないといけないのが辛かった。後は、カナダに戻ってくるのは元旦那の考えだったんですけど、人の考えで自分の生活を変えないといけない、自分で決められない事に理不尽さみたいなものを感じてました。

バンクーバーに戻ってきてからすぐ、昔からの友達に誘われてカフェの立ち上げに加わることになりました。そのカフェが今、私がマネージャー兼パティシエとして働いているStorm City coffeeです。メニュー、壁画のデザイン、テーブル、椅子や細かいカトラリーの選別まですべてやりました。初めての事ばかりでしたけど、大変だった分、自分の店だという愛着も沸いたことは事実です。コロナで大変な時期もありましたが、今は連日賑わうNeighborhood Cafeとして今年の11月に4周年を迎えます。

海外にきて一番辛かったことは何ですか?又そこから何を学びましたか?

子育てです。なぜって。。。嫌になってもやめれない(笑)

子供ができる前は、嫌になったらなんでもすぐに止めてた、すぐに諦めてた。でも子育ては、諦められないし、目を背けれない。元旦那は仕事が忙しくてあんまり家に居なかったので、頼れる人、話を聞いてくれる人が周りに居なくて、親として孤独だった時期が長かったです。子育ての事話せなくて、気持ちのサポートがなかった。自分の子育てに自信がなくて、いろんな意見に惑わされていました。日本で育った自分。でも海外で子供を育てていて、日本の親からは見えないプレッシャーを感じていました。自分に自信がなかったです。

そんな私の気持ちを反映してか、子供が荒れていきました。。学校の先生とも何度も話し合い、その時最善だと思う方法をやってきました。

子育ては本当に大変。。。。息子たちはもう二人ともティーンエージャーですが、今でも子育て続いています。ただ、大変だけど、良いことも、学ぶことも多い。あの辛かった時期を経て思った事は、もっと自分を信じて自信をもっていいんだと気が付きました。

今何をしていますか?

Storm city coffeeでマネージャ兼パティシエとして働いています。子育ても日々奮闘中。休日や仕事から帰ってから、趣味で野菜やお花を育てています。

最近ではCream puffs by Yokoと言う自身のブランドを立ち上げて、私が一番好きなお菓子、シュークリームをインスタでオーダー販売をしています。毎日飽きずに食べれるシュークリームをコンセプトに、カスタードがおいしい、しっかりした生地の私のシュークリームを広めていきたいと思っています。価格はフレーバーによって変わりますが、$4.50~$6.00です。オーダーはインスタグラムよりお願いします。

Yokoさんのインスタグラム

お菓子
ようこさんの十八番。シュークリーム。程よい甘さで、中身ギッシリ。

何をするのが好きですか?

やっぱりBakingが大好き。これは小さい頃から変わっていません。

初めてお菓子を作った時の感動を覚えています。砂糖、バター、小麦粉、卵とかいつも家にある材料でお店で買っている美味しいお菓子ができるなんて、まるで魔法のようで、オーブンの前で興奮して出来上がるのを見ていた時の事を今でもずっと覚えています。自分の手で何かを作り上げる楽しさを経験したら虜になってしまいました。そして、それを他人が喜んでくれる。私は人に食べてもらうまでが好きなんです。

仕事でもBakingしてますけど、家でも時間があると何か作りたくなります。今でもオーブンは覗いちゃう(笑)そして上手にできたら「わーっ!」って感動してしまいます。最近ではサワードウのパンを家で作っています。これは生き物。奥が深い。でも手をかける楽しさを味わっています。

手をかけると言えば、家庭菜園をやっています。季節の野菜やお花を育てるのも私の大事な時間です。

野菜
家庭菜園でとれたみずみずしい野菜たち。

今後やりたい事はありますか?

Bakingを通して若者に社会での居場所を提供する事業をやってみたいです。

自分の子育ての経験から、素行が悪いと言われている子たちも、良い子であると知っています。ただ境遇が大変なだけ。。。彼らはまだティーンです。限られた世界の中で生きています。親が悪いから、運が悪いから、じゃなくてコミュニティーの大人たちが助けてあげられる環境を作ってあげたい。私にできることは何か?と考えた時に、やっぱりBakingでした。学校に何かの理由で行きたくない、家にも帰りたくない。そんな子供たちが集える場所。何かスキルを得られる場所。そしてBakingを通じて彼らが社会のでの居場所を見つけてくれたら、嬉しいなと思っています。

素行が悪いと思われている子ほど、人との繋がりを求めているんではないでしょうか?そんな若者を対象に地域を巻き込んでBaking Classをするのが私の次の目標です。

カメラも趣味。

あなたの信条やモットーを教えてください。

「人との繋がりを大切にする。」です。

今までの経験で、人とのつながりが一番大事でした。私は一人じゃ何もできないと思っています。一人でできてると思っている時は実は、出来ていない時。だから、人との繋がり、コミュニケーションを大事にしています。

編集者より

陽子さんは毎日若い従業員の子達と働いています。陽子さんが自分の息子達も含めて、今の若い子たちに感じていることは「今の若い子はEmotionally Interigent」。私にも10代の息子が居ますが、同じように感じていました。もしかしたら子供達は大人よりもずっと物事の本質を見極めてるのではないでしょうか?ようこさんはそんな子供達が安心して大人になって行ける場所を作りたいんだと感じました。

子供達は地域の大人が育てる、守る。これは大人としての義務だと思います。

Baking一筋でここまで来たようこさん。好きなことを続けるにあたって、彼女が大切にしてきた、人との繋がりを、今度は若い世代に一人の大人として伝えていこうとしています。ようこさんのやりたい事はBakingを軸に大きく広がっていく事だと思います。そんな彼女の今後の活動をOgojo Canadaは応援しています。

是非、Storm city coffeeにシュークリームを買いに来てください。その他のBaked Goodsもおいしいですよ!毎朝焼いているビスケットで作るサンドイッチもお勧めです。

備考:表紙の写真はYushiin Laboさんの撮影された物です。今回は許可を頂いて写真を使わせて頂きました。 Voiceというローカルサポートプロジェクトを行っていて、そこでも陽子さんはStorm city coffeeのマネージャーとして紹介されています。素敵な写真でローカルビジネスの紹介をしているシリーズですので、こちらも是非ご覧ください。

Yushiin Laboさん local support project Voice