カナダで頑張る日本人女性 Vol. 29 Aya Taguchi

カナダのどんな所が好きですか？

人がオープンで暖かく、優しくて人間らしいところが好きです。助け合いの精神がある人が多いと感じます。個人が尊重されるバンクーバーは心地がよいです。ワーキングホリデーで滞在したポーランドとはまた違った感覚です。ただし、居心地はいいけれど、自分から発信しないと何も始まらない、そう感じます。

いつからカナダに住んでいますか？来た理由を教えてください。

2018年の2月にバンクーバーに来ました。日本では車開発のために必要な人体ダミ―を作っている会社で営業事務をしていました。以前から海外生活に興味はありましたが、英語を話せる同僚たちがいたことに影響を受けて海外に行きたいという思いが加速しました。当時シリコンバレーというテレビドラマを見ていて北米に行ってみたいと思い、アメリカのシリコンバレーに1か月滞在してみたりしました（笑）その後、なぜかポーランドにワーキングホリデーで行ったのですが、ポーランドでの生活は良い悪い含め、日本やアメリカとは全く違う環境でした。イタリア、スペイン、イギリスなどへのヨーロッパ旅行を楽しんだ後、やはり北米に戻ろうと、日系のコミュニティのあるバンクーバーを選びました。IT系の学校に行き、デザインとコーディングの勉強をしました。

ここに来てからどんなことをしてきましたか？

IT系の勉強をしてみたものの、実際にやってみると自分には合わないと感じました。IT系オタクにはなれなかった。。。でも、せっかく勉強をしたのでネットショップを作って何か販売したいと考えていました。

学校が終わり、インターンシップをしないといけない期限も迫っていたところ、元々友人だった今のビジネスパートナーにばったり出会いました。IT関連のインターンシップをしなければならない事と、何かネット販売をしようと思っていることを説明したところ、彼が当時取り扱っていた魚の販売を提案してくれました。自分でウェブサイトを作成し、販売を開始しました。思っていた以上に口コミが広がって商品が売れるようになり、2021年の4月に今のお店Blackjack Foods Meat & Seafood を出すまでに至りました。

Blackjack Foods Meat & Seafood

Blackjack Foods Meat & Seafoodについて教えてください。

最初のネット販売では、牛の骨がターニングポイントになりました。ベトナム料理の出汁に欠かせない物だそうで、たくさんの方がBlackjackを知ってくれるようになりました。お店を構えてからは、刺身を含めた魚介類と肉類の商品を徐々に増やしていき、日本人のお客さんも増えてきました。

Nanaimo Streetにある今の店は元々そこが空いたらいいなと思っていた場所です。元々ドライクリーニングのあった場所でした。お店が引き渡されたときは、ドライクリーニングの薬剤や機械達がそのままで、3か月かけて機械類の撤去、掃除、内装等をやりました。

お店を開いてもうすぐ2年になります。広告にお金をかけるのなら少しでも商品を安く提供したいという思いがあり、あまり広告は出していません。有難いことに、殆ど口コミで広がっています。

ビジネスをしたいとずっと思ってらしたそうですが、実際にやってみてどうですか。

新しい商品の考案、仕入れ、顧客対応、在庫管理、ウェブサイト管理等とても忙しいですが楽しんでいます。ビジネスパートナーは、私がこれをやりたいあれをやりたいとアイデアを出すとサポートしてくれます。意見が合わないときもありますが、お店を大きくしたいという同じ目的のために進んでいけるお互い良いパートナーです。

食品業界は競争が激しいですが、魚と肉とビジネスの事を考えたり勉強したり、先輩方から学んだりすることが楽しくて、たくさんの時間をそこに使っています。

今後の目標を教えてください。

商品をもっと増やし、いろいろなプロモーションをしたりしながらお店を盛り上げて、2店目を出すことを目標にしています。私たちのお店に行けばお得な物が見つかるというお店にしたいです。

カナダにきて一番辛かったことは？そこから何を学びましたか？

祖父が亡くなったことが辛かったです。カナダに住んでいると簡単に帰ることが出来ません。祖父のことが大好きだったので、亡くなった祖父を見て、魂の抜けた、ただの物体のようになってしまった姿を見てとても悲しかったです。考えると涙が止まらなかったので、仕事に熱中しました。

何をするのが好きですか？

オフの時間を意識して取るようにしています。こっちのテレビ番組（主にアメリカ、イギリス発）を見るのが大好きです！あとはコーヒーショップに行って、リラックスしながら新しいことを考えるのが好きです。

あなたの信条やモットーを教えてください。

「やりたい」という思いをいつも大事にしています。自分がやりたいことだと燃えるし、考えも止まらないし、スピードも上がります。

メッセージをお願いします。

私は、昔から何かをやりたいと思っていました。でも何をするのか、どうなるのかもわからなかった。オンラインショップをしたいと思っていましたが、ピンとくる商品がありませんでした。今のパートナーに話したことで今に繋がっています。

思い続けていると繋がっていくのかなと思います。そしてアクションを起こしていく。思い続ける中で、ひょっと訪れるチャンスを逃さず掴んで、アクションを起こして動くことが大切だなと自分の体験を通して実感しています。

あとがき

Ayaさんは、個性を尊重するこの街バンクーバーでずっと思い続けていた「何かをしたい」を形にした。彼女の新しいことに挑戦する意欲や、オープンマインドな姿勢がチャンスを招いたのは間違いない。

魚、肉、ビジネスについて貪欲に学び続けるAyaさんの姿勢に、心から自分の「したい」を楽しんでいることが伝わってきた。2店舗目を展開したいという目標を達成した後、彼女がどんな「したい」を次に感じるのか。Ayaさんのこれからの旅がとても楽しみだ。