カナダの好きなところを教えてください。
多種多様な文化や人々が上手く共存しているカナダのが好きです。移住してから、日本では性や年齢などで制限される生き辛さを感じていたのだということに気がつきました。カナダの開放的な社会を楽しんでいます。良い意味でも悪い意味でも人や周囲のことを気にしない所が心地よいです。
また、バンクーバーはのんびりしていて、自分自身のことについてゆっくり考えたり感じたりする時間が持てるのが嬉しいです。日本では、自分が何をしたいのか、何が好きなのか考えず、激流の中で流されて正しいと思ったものを選択して生きてきた気がします。日本での学歴も職歴もほとんど考慮されない環境の中に入った時に初めて、自分が好きなことは何なのだろうか、出来る事は何なのだろうかと真剣に考えました。自分自身と向き合ったことがなかったので(表面上でしか)、それはとても苦しい期間で、今でも暗黒の時代だったなと思います。でも、あの時があったから今があると思えます。
最後に、自分の時間や家族との時間を仕事よりなによりも大事にしているカナダ人の価値観がとても良いなと思います。とある面接で、「あなたは明日から休みを取る予定にしていました。急に締め切りのある仕事が入りました。あなたならどうしますか。」という質問をされたことがありました。なぜそんな質問をと思いながら日本人の普通の感覚で「休みを延期して仕事を終わらせます。」という私の回答に、面接官たちがびっくり苦笑いをされたことがあります。同僚や上司と上手くコミュニケーションを取り、協力してもらいながら仕事を終わらせると答えて欲しかったようです。そんな私も1年経たないうちにすっかり周りのカナダ人たちに感化され、毎年3週間まとめて有給をとって旅行に行っちゃうようになりました。笑
カナダの在住歴と経緯
2003年の4月に移住したのでもう18年になります。一度海外で働いてみたいと思っていたので、やっとの思いで就職した会社を一年で辞めてワーホリで来ました。若いし失敗してもどうにかなるだろうと。バンクーバーには少し住んだことがあったので、それほどカルチャーショックはありませんでしたが、日系企業のワーホリへの扱いの酷さや先輩移民の方たちの厳しさにに何回か泣きました。笑

カナダに住んでいて一番大変だったことを教えてください。
カナダに移住したばかりのころは、なかなか良い仕事に就けず、しばらく最低賃金の仕事を朝晩掛け持ちしていました。特に最初の1年は超貧乏で外食なんてもってのほか、コーヒー一杯すら買えませんでした。今まで自分がしてきたことや信じてきた自分の能力が全否定されたような気持ちになったこの時期が一番しんどかったです。
数年後、カナダ企業に雇用され、自分のやりたかった「海外で働く」ということを理解した気がします。日本人は働き者で、基本的な知識も高く、真面目です。でも、ただ一生懸命に働いていても、積極的に話したり、自分の希望を出したり、声をあげていかなければ、今の状況で満足なのだなと捉えられてしまいます。主張しなければ誰も聞いてくれないし気づいてもくれません。昇進などもってのほか。
カナダには英語が上手に話せない人なんてたくさんいます。アクセントが強い者同士でなかなか分かり合えないことも多々あります。それでも物怖じせず、堂々と生きている人達ばかりです。そして、子育てしながら、フルタイムで働きながら、学校にも通うというパワフルな女性たちもたくさんいます。でもやっぱり普通の専門職でない職場では、英語が母国語じゃない人たちには越えられない壁を感じたのも事実。こういった経験から、自分が働けそうな職場を探すのではなく、自分でやりたい仕事を作ってしまおうと思うようになりました。
また、海外での子育ては簡単ではありません。家族からのサポートが簡単にもらえないのはもちろんのこと、カナダ人ママたちと心から通じ合えない何かに孤独感を感じました。それは言葉の壁というよりも、生まれ育って自然と身についている文化的背景からなのかもしれません。そんな孤独や疎外感から救ってくれたのは日本人のお友達たちでした。お互いを助け合い応援し合う場所を作っていけたら良いなと思うきっかけになりました。
あなたのモットーを教えてください。
やろうと思ったときがその時!と思ってまず行動しています。何かしたいと思ったその衝動や情熱が力になります。その瞬間を逃さず波に乗って行くことで、「したい」が実現しやすくなると信じています。また、新たな自分を見出すことが出来るので、新しいことに挑戦することが好きです。
今していることを教えてください。
2017年にOgojo Canadaを立ちあげ、同年9月より読み聞かせクラスおはなしおはなしを隣組で開始しました。(2020年、COVID-19により休止)子供たちが小さいときは、日本語で連れて行けるところがほとんどなく大変だった自分自身の経験から、ママやパパたちが日本語で話し、日常から少し離れてホッと一息つける場所を提供したいと思ったからです。そして、そこが繋がり合い、助け合える場所となったらと嬉しいなと。
これまでの活動では、バンクーバーでビジネスをされている日本人女性のご協力を得て、こどものじかん(2017年)、キッズマルシェ(2019年)のイベントや様々なワークショップなども開催してきました。

2021年5月、FacebookグループIDOBATA-KAIGIを起ち上げました。カナダで頑張る日本人女性が、繋がり、応援し合えるボーダレスなコミュニティを目指しています。
カナダに移住してからこれまで、才能豊かな日本女性にたくさん出会ってきました。でも、その才能がカナダ社会で生かされないもどかしさや残念さを常に感じていました。日本人の方ってとても控え目。本当に素晴らしい才能を持っているのに。
アフリカの古い諺に “If you want to go quickly, go alone. If you want to go far, go together.” という言葉があります。一人一人が発信することはとても大事ですが、繋がり、みんなで協力し合い、応援し合うことでさらに大きな力が生まれ、カナダ社会に上手く発信していけるのではないでしょうか。そして、またそこで繋がりが生まれ大きな発信力となる。一人では難しいことも、力を合わせれば可能になる。そう信じています。
また、最近はキッズマルシェで人気だったOgojo Jan食べるラー油を販売し始めました。有難いことにご好評いただいております。いろいろな方たちとコラボしながらOgojoブランドを開発していくことも今後の目標です。そして雇用や機会を生み出せたら嬉しいなと思っています。

編集者より
心の強い優しい女性というのが第一印象でした。話しをきいているうちに、彼女のみんなを応援したいという想いは、自分自身を応援したいということなのだと気づきました。Ogojo Canadaという会社名は、彼女を含む全ての女性が自分自身を自由に表現出来る場所を提供したいという彼女の想いを反映した名前なのだと思いました。
おごじょ=鹿児島の方言で芯が強く優しい女性。