カナダで頑張る日本人女性

カナダで頑張る日本人女性 Vol. 18 Tomoko Oxenfarth

目次
  1. カナダへいらしたきっかけを教えてください。
  2. カナダの好きなところを教えてください。
  3. カナダに住んでいて一番大変だったことを教えてください。
  4. 留学先にセントクレアカレッジを選んだ理由について教えてください。
  5. ファッションデザイナーとしてスタートしたきっかけを教えてください。
  6. Tomokoさんの起ち上げたファッションブランドMaison Louise Canadaについて教えてください。
  7. カレッジ卒業、結婚出産、ファッションブランドの立ち上げ、とても濃い3年を過ごしていらっしゃっていますね。
  8. モットーや指針にしている言葉、気にかけている言葉はありますか。
  9. 今後の目標があったら教えてください。
  10. 最後に、留学を考えていたり、ビジネスを起こそうとしている方にアドバイスをお願いします。
  11. 編集者より

カナダへいらしたきっかけを教えてください。

日本ではもともと洋裁が好きだったので、バックをデザインし楽天などで出店販売をしていました。今まで私は何がしたかったのかと考えたとき、ファッションデザインを勉強したかったことを思い出しました。カナダは馴染みのある大好きな土地だということと、環境を変えたらどうかという両親の後押しもあり、娘を連れてカナダへの留学を決めました。ファッションデザインのある公立の大学を探し、2018年オンタリオ州ウィンザーにあるセントクレアカレッジに入学しました。

カナダは馴染みのある土地だったのですね。

高校生くらいのときからほぼ毎年夏になると家族で西海岸のバンクーバー、ビクトリア、バンフなどを訪れていました。両親もカナダが大ファンなこともあり、私もとても好きになりました。大学のときにはラクロスをやっていて、ビクトリアでホームステイをしながらラクロスキャンプに参加したりとカナダは何かと昔からご縁がある国です。再婚するつもりはなかったのですが、ここカナダでドイツ人の夫に出会ったのも何かのご縁だったのかなと思います。

*ラクロスの起源は現在のカナダ周辺の北米先住民族と言われており、アイスホッケーに並ぶカナダ国技。

カナダに来られてからの生活はどうでしたか。

誰の知り合いもいないカナダのウィンザーに来て、娘の公立の小学校に連絡を取ったり、娘には辛い思いをさせないように良い学区に家を借りるなど、出来る限りの環境を整えようと勤めました。いきなり英語環境に入れられて娘は大変だったと思いますが、よくやってくれたととても感謝しています。いざカナダについて半年前から抑えていた家に入居したけれども水が出なかったり、学校併設のYMCAのアフタースクールケアがいっぱいで1週間はナニーさんを雇わなくいけなかったり、ちょっとしたアクシデントには少し参りました。車も移住前に手配していたのですが、保険やライセンスの手配などに戸惑ったり、生活が安定するまでに1~2か月はかかりました。

カナダの好きなところを教えてください。

しいて言えば自由なところです。目上の人への敬語など日本ではありますが、こちらでは年齢も聞かないし、スーパーなどで話しかけてくれたりフランクなところが好きです。Have a nice dayなどちょっとした声掛けがあったり、人と人の間にボーダーが無くスッと入っていけるところは良いなと思います。

都会の生活が1、2年はとても恋しくてすぐ帰ろうと思っていたのですが、年齢なのかショッピング欲が無くなってきて田舎に住んでたまに都会に行くのも悪くないなと思ったりもします。

海外が好きで海外に行きたいと思っていましたが、いざ住んでみると日本の良さが逆に分かるようになりました。

カナダに住んでいて一番大変だったことを教えてください。

最初に来て2か月くらいが一番大変でした。カナダの文化に慣れるまでというか、不動産屋さんとのやりとりがきつかったです。「なんとかなるよ」という言葉は信用してはいけないということを学びました(笑)。様子をみたらなんとかなるという感覚でいたら何にも解決しませんでした。落ち着いて生活のリズムが出来てしまえばなんとかなりました。子育てと学校があったのでホームシックになる時間もありませんでした。

カナダ留学で一緒にいらした娘さんはどうでしたか。

娘も前に進む力が強いというか、ホームシックになることはありませんでした。学校で言葉も話せないのにどうしているんだろうと思っていましたが、半年ぐらい何も話さなかったようなのですが、ある時話さなければいけないよと話しをしてから急に話すようになりました。子供の吸収力って凄いなと思います。

海外での子育てについてどのように感じていますか。

自分の意見をはっきり伝えるなど自由なので良いのですが、日本に帰ったときに馴染めなくなるので礼儀やマナーなど気を付けるように話しています。

両親の考えでは、女の子は結婚して専業主婦になるのが普通だという感じだったのですが、英文学部などではなく手に職を付けておけばよかったなと思いました。子供にも何か仕事で使えるような学部を選んで欲しいなと思います。

娘さんとミシガンファッションウィークにて

留学先にセントクレアカレッジを選んだ理由について教えてください。

大学で英米文学科を出たのとコロラド州立大学に1年間留学していたので自分では英語が話せると思っていたのですがあまり出来ていなかったのではないかと思います。カナダに大学に入るために語学学校に入るのは時間がもったいないと思ったので、IELTSを受け、そのスコアで入れる学校を選び、それがセントクレアカレッジでした。

ファッションデザイナーとしてスタートしたきっかけを教えてください。

ウィンザーはオートシティと言われる街でファッションとは無縁の街です。みんなLululemonのようなスポーツウェアを着ています。大阪出身なのですごく田舎で私の持つカナダのイメージとは全く違い、来た当初はがっくりしました。ここで何が出来るかなと思ったのですが、コロナのこともあり家にいながら出来る事を模索していました。2020年の4月にカレッジを卒業したのですが、その直前にミシガンファッションウィークを見つけ、連絡をとってみたところ、スチューデントショーケースという学生の特別枠に参加する機会をいただきました。デトロイトは、ウィンザーから車で30分の距離なんです。学校で作っていた作品も合わせ、なんとか10着作成し参加しました。

ミシガンファッションウィークに参加してみてどうでしたか。

ビジネスとしてブランドを起ち上げることは考えていなかったのですが、その経験がとても楽しかったので次のステップとしてトロントのスタートアップファッションウィークに参加しました。そこで、ウェブサイトを起ち上げやフォトグラファーとの関わりなどを含め何をしなければいけないのかを勉強させてもらったりしました。その夏には、ビジネスとしてどのようにして起ち上げるのか確立していきました。その後、トロントキッズファッションウィークに参加し、バンクーバーキッズファッションウィークの関係者の方が見てくださっていたことで、11月のバンクーバーキッズファッションウィークにもご招待いただき参加しました。

女性向けの服をデザインしようと考えていたのですが、流れでキッズの服に関わることになりました。キッズでもティーンの服であれば大人の服に近いので。

Tomokoさんの起ち上げたファッションブランドMaison Louise Canadaについて教えてください。

ウィンザーはオートシティですし、デトロイトもすぐ近くにあるので何かウィンザーに関わるユニークポイントとして使いたかったのと、50年代60年代のディオール、イブサンローラン、バレンチノなどヴィンテージのシルエットのある華やかなデザインがとても好きなので、そこからインスピレーションを受けてデザインしています。

Maison Louise Canadaの名前の由来を教えてください。

レイクルイーズから来ています。レイクルイーズが大好きなんです。水色の湖の色と雰囲気がとても好きです。レイクサイドにあるフェアモントホテルでは、ビンテージの絵葉書を作っていたり、ホテルのカフェの窓から見えるレイクルイーズの景色が綺麗なんです。Maison Louiseという名前を調べたところ、同じ名前の介護施設があることが分かりCanadaを付けました。

ブランドコンセプトについて教えてください。

ファッション業界でもサステイナブルがトレンドです。サステイナブルというと、リサイクル、アップサイクルなどのイメージがあるかと思うかもしれませんが、大切に着るということもサステイナブルですよね。一つの服を大切に着て次のジェネレーションまで伝えていくということをモットーにしています。今は安くてカワイイ服が溢れているかもしれませんが、気に入った服を大事に大事に着て欲しい、アンティークの物、ビンテージの物を大切にして欲しいという想いを込めています。

着物も使用していると拝見しました。

お琴の師範でもある祖母の影響で中学からお琴と茶道を始め、着物を着る機会が多かったので、母が嫁入り道具にいっぱい持っていた着物を着る機会を持ちました。着物って引き継いで引き継いで着ていくものですよね。Maison Louise Canadaの精神は、そういうところからも引き継いでいます。日本に帰ったときには、安くなった反物を使用しコレクションに使ったりもしていました。今は日本に帰れなくなっているのでなかなか難しいですが、早く簡単に行き来出来るようになると良いですね。

短期間でビジネスを成長させられた理由は何だと思いますか。

学校が終わってから社会と切り離されたようになっていた私の状況を見て夫がプッシュしてくれたのもありました。イベントやポップアップショップなど調べつくして探して参加出来るものは参加していました。そこでお声がけいただいてイベントにご招待されるきっかけにもなりました。自分からアクションを起こして何かしていると、今はインスタなどSNSがいっぱいあるので見てくれる人達も増えていきました。行動を起こしているから次へ次へと繋がっていっているのだと思います。

ファッションショーでモデルの子供たちと

Maison Louise Canadaの今後の展開について教えてください。

日本に帰国することも視野にいれていますが、カナダにいる限りはファッションウィークに参加し、洋服を作り続けたいと思っています。今はどこの国にいても何でも出来るようになったのでラッキーな時代ですよね。トロントまで3時間かかるのですが、ファッションウィークのセミナーもオンラインでやってくれるので離れていても行かずに参加出来ました。今はデザイン、作成、販売を全て自分でしているのですが、始めたからには続けていきたいので、今後もう少し余裕が出てきたらお手伝いしてくれる方を雇用していきたいです。

Maison Louise Canadaをどのようにカナダに残していくのか。日本に帰ったとしても何かしらカナダに関係は残していたいなと思っています。

カレッジ卒業、結婚出産、ファッションブランドの立ち上げ、とても濃い3年を過ごしていらっしゃっていますね。

カナダに来た当初は、一緒にご飯を食べる友達がいるわけでもなく、娘もいるので 大学卒業をして帰国しようと思っていたのですが、コーヒーショップでたまたま声をかけられ話しをしたのがきっかけでお付き合いするようになり、今の夫と結婚しました。2020年の3月に結婚し、すぐに妊娠出産したので濃厚な3年です。

猪突猛進なタイプなのもあるのですが、夫も妊娠中にファッションウィークに参加することなど積極的に応援してくれました。一生懸命やりたいと思っていたけれどもそれが普通なのかなと思っていました。30~40人の同級生がいましたが、起業したりデザイナーとして続けているのは少数です。

モットーや指針にしている言葉、気にかけている言葉はありますか。

感謝することを忘れないです。どこに行っても感謝する気持ちを忘れないことです。例えば、夫が何かしてくれた時に感謝を表すと相手も自分も気持ちが良いですよね。また、これは夫から学んだのですが常にポジティブでいることです。日本で離婚を経験したときはしんどいとき、辛いときがありました。良い所をみて良いように生きる人生の方が楽しいよといつも夫が言います。ポジティブに笑顔でいたら良いことがあるわと思っています。後悔したりネガティブに考えている時間があるのなら、ポジティブでいた方が一回しかない人生楽しく生きられる!

今後の目標があったら教えてください。

今年も引き続き、カルガリー、トロント、モントリオールでコレクションを発表することが決まっています。このまま、1年に2回は春夏と秋冬のコレクションを発表しお客様に素敵な作品をお届け出来たらと思います。今はまだオンラインショップしかありませんが、お店を出して、海外から取り寄せたセレクトアイテムを一緒に販売したりカフェも併設したり、トータルライフコーディネイトできるブランドになることが目標です。

コロナをきっかけに、ヘアメイクやウェブデザインの仕事をしている友人達の仕事が激減して環境に変化があったり、自分で何かをしたいと思っている人達と協力し合い、やりたいことがギュッと詰まったファッションウィークになると良いなと思っています。

最後に、留学を考えていたり、ビジネスを起こそうとしている方にアドバイスをお願いします。

考えているのだけでなく実際にやってみないとアクションを起こさないと始まらないというのがまず一つです。インターネットを使ったり、SNSで情報を得たり海外の人達と簡単に繋がることができますよね。自分からどんどん発信していくと良いのではないかなと思います。日本に住んでいると、海外に行くということに対する壁が高いですよね。なんでもいいからとりあえずやってみる。こちらの方たちは割と後先考えずになんでもやる印象があります。そういう精神って良いなと思いますし、やってみるから分からない部分が分かりますよね。行動を起こさないと分からないので、にかくやってみる。

Maison Louise Canada Website: https://www.maisonlouise.ca/

Maison Louise Canada Instagram: https://www.instagram.com/maisonlouisecanada/

Maison Louise Canada Youtube: https://www.youtube.com/channel/UC1se51rWwMxV4IYcvcH5rrg

編集者より

ファッションショーのランウェイを堂々と歩くTomokoさんを動画で拝見した際には、来加してたったの3年だとは思いもよりませんでした。バイタリティに溢れ明るく気さくなTomomkoさんは、自ら道を切り開き、短期間でたくさんのことを成し遂げてきました。これからも周囲の人たちを魅了し、いろいろなことに挑戦しつづけていくことでしょう。Tomokoさんの提案する、大事に着継がれるブランドMaison Louise Canadaのご活躍を応援しています。そして、近い将来Tomokoさんこだわりのショップを訪れる日が楽しみにしています。